診療案内

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漢方における「証」とは

漢方における「証」とは

西洋医学では病名を診断しますが、漢方では、病気ではなく個人に焦点を当て患者さま自身に合わせた治療を行います。なぜかというと病名が同じであっても、体質や抵抗力・体格・症状などは人によって千差万別であるからです。

その人がもつ個性を「証」という方法によって診断します。当院では、西洋医学的治療も取り入れたうえで、患者さまの体質や個人差をより重視して証を行い、適した漢方薬の処方を行います。

  • 証その1 問診

    会話により患者さまの状態を伺います。いろいろ質問するだけでなく患者さまからもお話を伺います。現在の症状だけでなく普段の体質や症状などにも注意深く耳を傾けていきます。

  • 証その2 切診

    直接患者さまの体にふれます。脈のリズムからみる脈診と、お腹にふれる腹診とがあります。当院では診療台に横になってもらったうえで行います。

    1 舌診
    舌診
    2 腹診
    腹診
    3 脈診
    脈診
  • 証その3 望診

    患者さまの状態を目で見ることによって診断します。具体的には目や舌の色。爪の色や形などの状態だけでなく、顔色や体型等を総合的に診ながら診断を立てていきます。

  • 証その4 聞診

    患者さまに耳を傾けることで行う診断です。声の大きさやはり、呼吸音などに耳を傾けます。

当院で診るおもな疾患

アレルギー

アレルギー

漢方による、アレルギー疾患治療がお勧めであるのは次のような人です。まず、西洋医学治療をすでに行っているが、中止すると元に戻ってしまったり、悪化してしまったりする人。また、薬を飲むと症状が収まるが、副作用のため服薬を続けられない人、ある程度良くなったが鼻水など他のアレルギー症状が改善しない人などです。

西洋医学が、症状を抑えることに着目しているのに対し、漢方ではアレルギー体質の改善を目標としています。漢方治療によってアレルギー体質の改善を行うことは十分可能です。しかしながら、現在生じているアレルギー症状が軽症または中症まではある程度対応可能ですが、それ以上重くなると西洋医学的処方を併用することもあります。いずれにしても、アレルギー症状は放置すると進行することがあるため、はやめの受診をおすすめします。とくに花粉症はシーズン前の来院が大切です。

食欲不振

食欲不振

食欲不振で悩んでいる人は多くいます。食欲不振による漢方治療が向いている人は、西洋医学治療をすでに行っているが、中止すると元に戻ってしまったり、悪化してしまったりする人です。また、薬を飲むと症状が収まるが、副作用のため服薬を続けられない人、ある程度良くなったがまだ症状が改善しない人などです。

西洋医学的な処方によって食欲不振を一時的に改善することはできます。しかし、多くの場合服薬を中止すると元に戻ってしまうようです。

それは結局、体質が改善されていないためです。漢方では低下してしまった機能を正常に近づけ、消化器だけでなく全身がより健康になるように治療を行います。とくに、自律神経系統の乱れによる食欲不振やストレス性の食欲不振に効果が大きいようです。

単なる食欲不振にとどまらず、疲れがとれない、すぐに横になる、朝起きられない、いつもふらつくなどの症状を合併する場合は、消化器だけでなく全体の体質改善が必要になります。これらの場合治療に時間がかかることもしばしばです。

消化器疾患(胃炎・胃潰瘍・機能性胃腸症・過敏性腸症候群)

消化器疾患(胃炎・胃潰瘍・機能性胃腸症・過敏性腸症候群)

つらい消化器症状を抑えるのに漢方薬は大きな役割をはたします。西洋医学では、制酸剤をはじめとする各種薬剤が処方されますが、これは症状を一時抑えることを目的としており、本質的な改善には至っていません。胃炎をはじめとする消化器症状はストレスが関与することが多いために、体質やストレスをコーピングしないことにはこれらの症状はなかなか良くなりません。とくに、大きな異常がないにもかかわらず症状が生じる機能性胃腸症の改善には、心身の状態を総合的に捉える漢方治療がよく効くことが多いようです。

また、便秘によって生活に大きな支障をもたらされるほど悩んでいる人は多いものです。
生活習慣や食生活などの改善を行うと同時に、体質改善を行う漢方の処方を併用することで、便秘症状の改善を目指していきます。

がん(術後)

がん(術後)

がんの術後に漢方薬を処方するケースは案外多いものです。この場合は、漢方薬によって治療を行うというわけでなく、西洋薬との併用を行うのが一般的です。多くの場合、西洋医学による処方や、がんの症状によって低下してしまった機能を補う目的で漢方治療がなされます。西洋医学では、がん細胞をターゲットに治療が行われているため、患者さまの体力低下や副作用にはあまり焦点が当てられていません。

しかしながら、抗がん剤内服時や手術後は、著しく免疫力が低下しさまざまな感染症にかかりやすくなるだけでなく、本人自体の気力や体力も大きく削がれます。それを補うのに最適なのが漢方薬なのです。代表的な症状は、吐き気や食欲不振・下痢・嘔吐といった消化器症状。また、どうにもならないような全身倦怠感、脱力感などの自覚症状の改善も目指していきます。

総合的に体を元気にしていくことによって、免疫力を改善する目的で漢方治療が行われています。また手術後というのは、再発予防が大切になりますが、免疫力を高めることによって再発予防を行っていくこともできます。

処方する漢方の種類について

処方する漢方の種類について

漢方薬は、西洋医学で処方される薬剤とは大きくことなります。一般的に、漢方薬は生薬といわれる成分のうちのいくつかの種類を混ぜ合わせて使われます。患者さまの使用目的や体質などによって、使用する種類や分量、混ぜ合わせる配分また服用方法や時間などがことなってきます。

主成分である生薬とは、天然成分である動植物や鉱物を原料とし、これらにあまり手を加えずに使用するものをいいます。現在、使われている生薬は、ほとんどが植物性のものであります。生薬は、明治時代までは、きぐすりと呼ばれていました。多くの場合単独で用いられることはありません。

いくつかの生薬を、専門家によって決められた配合で決められた方法で内服してはじめて漢方薬であるといえます。逆に言えば、この組みあわせの妙こそが漢方薬のきもであるともいえるでしょう。

当院で出す漢方の違い

当院で出す漢方の違い

最近では、漢方薬は一般的なものになってきており、一部のものはドラッグストアなどでも気軽に買えるようになりました。では、当院で処方する漢方薬と、それらの漢方薬とではどんな違いがあるのでしょうか。

その違いは、「証(しょう)」にあります。
西洋医学では、「風邪ならばこの薬」「胃痛にはこの薬」といったように、症状に合わせて薬がきまっています。しかしながら漢方では、症状ではなく患者さまの状態を診ます。そしてひとりひとりにあった診察や処方を行うのです。「証(しょう)」とは、患者さまの個々の体質や体力によってことなるもので、「陰証と陽証」「表証と裏証」などさまざまな証があります。
一般的によく聞かれるものが「虚証と実証」です。これはその人の外見や体力をあらわすもので、証の基本となります。

これらの証に適切な漢方薬を用いることではじめて効果があると考えられています。やみくもに漢方薬を口にしたとしても、それが適切な証でなければ効果がないのです。そういった理由から、漢方薬の処方を受ける場合は医師に処方してもらうことがすすめられているのです。また、漢方エキス製剤には、医師の処方によって保険が使えるものと、ドラッグストア等でも売られていて気軽に買えるものとがあります。
当然ながら後者は保険が使えませんし、前者のものよりもよりやや効き目が弱く作られています。

保険診療

保険診療

医師の発行する処方箋にもとづいて、保険適用が認められている漢方薬を処方された場合、保険適用が可能となります。現在は、100種類以上の漢方エキス製剤に対し、保険適用が認められています。そのため、医師の処方があれば多くの漢方薬は健康保険を使って使用できます。ただし当然のことながら、病院やクリニックならどこでも健康保険が使えるわけではないので注意が必要です。漢方に詳しい医師でなければ適切な処方を行うことができないでしょう。

当院では、漢方エキス製剤ではなく煎じ薬も処方しています。煎じ薬のほうが濃度が高く効果も高いといわれていますが、この場合は保険適用にはなりません。どちらが患者さまに適しているかは、医師と相談の上決めることができます。

ご予約・お問い合わせ

文京区・江戸川橋 地域にお住いの方で保険適用の漢方をお探しの際はお気軽にお問い合せください。
平日夜18時30分まで。土曜も診療しています。