- Q 漢方薬を飲むうえで注意することはありますか。
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A
私がほとんどの患者さまにお伝えすることのひとつは、「水を飲みすぎないでください」ということです。美容や健康を気遣う人の中には、1日に水を2リットル以上も飲む人がいますが、それは健康に害となることが多いでしょう。
とくに、冷え性だったり胃腸が弱かったりする人であれば、水の飲み過ぎはよくありません。飲みたくもないのに、「健康のため」と考えて大量に水を飲んでいるのであれば、それはやめたほうがいいでしょう。
- Q どのような病気が対象ですか。
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A
本来はどのような病気でも対応可能がですが、下記の疾患など現代医学で治療したほうが良い疾患もあります。
・外科的な処置を必要とするもの(交通事故、腫瘍など)
・急性の細菌性疾患(おでき、急性の膀胱炎など)逆に、慢性的疾患や体質改善、難病といった西洋医学では根治が難しいとされている疾患は漢方薬のほうが向いていることが多いです。
- Q 日常生活で注意することはありますか。
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A
まずは、目を酷使しないことが大切です。現代人は、パソコンやスマートフォンといったデバイスの使用により著しく目を使いすぎています。
そのために、寝つきが悪くなったり、朝早く眼が覚めてしまい、体に不調をきたしやすくなっているのです。皆さまが思っている以上に目の健康は大切なものです。作業の合間には休みをとったり、遠くを見たりするなどして、積極的に目を休めるようにしてください。
- Q がんの治療について教えてください。
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A
がんに対して漢方薬を用いることはよくあります。そのひとつが、西洋医学の治療に対し漢方薬を補助的に使用するものです。手術による切除や抗がん剤、放射線といった西洋医学的治療を用いながら、漢方薬を併用し食欲減退や免疫力低下といった副作用を改善していこうというものです。
もうひとつは、西洋医学ではさじを投げられてしまった患者さまの治療です。積極的な治療というよりはむしろ、患者さまの全身状態を改善し、余命の質を上げ、可能な限り延命を図るというのを主眼とする治療です。どちらも、適切に使用すればがんの患者さまに対したいへん大きな効果をもたらします。
- Q 漢方薬を内服した場合、どれくらいの期間で治りますか?
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A疾患にもよるので、一概にいえません。ひとつの傾向として罹患期間が長いほうが、また年齢が高いほうが 内服する期間は長くなる傾向にあります。
- Q 西洋薬と併用は可能ですか?
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A
併用して問題となることはそうありません。
しかしながら、肝炎治療薬のインターフェロンと小柴胡湯、低カリウムを起こしやすい薬と甘草の入った漢方薬など薬によっては併用が好ましくないものもありますので、併用に際しては専門家の意見を聞くほうが無難です。
- Q 保険は使えますか?
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A
はい、使えます。エキス剤といわれる顆粒状の漢方薬は保険治療が普通です。しかし、より効果が高い煎じ薬になると医療機関によりまちまちです。というのも保険というのは金額が決められてしまうため、良い生薬を使うとコストがかさむため赤字になることがあるからです。
また、煎じ薬の場合はひとつの処方を作るのにかなり手間がかるため、人件費もエキス剤に比べ大きくなります。そのため良質の生薬を使ってきちんとした処方を作ろうとすると、保険ではなかなか難しいのが現状なのです。保険治療と自費治療は目的と症状に応じて上手に使い分けるのが良いでしょう。
- Q エキス剤(顆粒や粉の薬)と煎じ薬では効果が違いますか?
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A
はい、異なります。しばしばこれらはインスタントコーヒーと豆のコーヒーの違いに例えられますが、そう簡単なものでもありません。
エキス剤と品質の良い生薬を使った煎じ薬との差は歴然です。しかしながら品質の劣る生薬を使った煎じ薬ではエキス剤とどちらが良いかは難しい問題です。エキス剤はメーカーの努力により品質がほぼ一定であるため、一定の効果を得やすいという長所があります。 煎じる手間がないことや携帯性が良い点もあります。
また学会での発表はエキス剤を使ったものが多いので、情報を得やすくもあります。以上より、私の考えでは品質の良い生薬を使うなら煎じ薬、安価な生薬を使った煎じ薬ならエキス剤で十分と思っています。
- Q 漢方薬に副作用はありますか?
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A
副作用のない薬はありません。漢方薬も然りです。
しかし「漢方薬に副作用がない」という発想が生まれたのにはそれなりの理由があります。西洋薬のような重い副作用を起こすことは極めてまれであることと、 副作用と思われるもののうち漢方の専門家ではまず見られないような「副作用」(漢方薬が適切でないためおきたもの)が多く、専門家では実際にはほとんどおきないからです。
これらから、漢方薬の副作用は西洋医学的な薬剤に比べて小さいといえるでしょう。