黒い食べ物は腎臓に良いのでしょうか?
先日、「腎臓が悪い時、黒いものを食べるとよいというのは本当ですか?」と聞かれました。
まず、この質問で注意していただきたいのは、「腎臓」というのは東洋医学でいう腎臓(以下「腎」と言います)で、現代医学の腎臓ではないことです。健診などで、クレアチニンが高いとか、eGFRの値が低いため、腎臓が悪いといわれるのは、現代医学でいう腎臓なので、この話には当てはまりませんのでお間違えのないように。東洋医学で「腎が悪い」というのは、足腰が痛いとか、めまいがする、尿の出が悪い、むくむ、下半身が冷える、精力減退、不妊などの症状がある場合にその可能性があります。
腎に黒いものが良いというのは、「五行説」が関係しています。この「五行説」というのは「陰陽説」とともに紀元前の古代中国で生まれた東洋の哲学思想で、漢方の根本の理論になっています。「五行説」を簡単に説明すると、万物は5つの性質(「木」、「火」、「土」、「金」、「水」の5つです)を持ったものから成り立っているという考えです。腎はこの5つの性質の「水」に属し、黒い食べ物も「水」に属します。つまり、黒い食べ物は「水」の性質を多分に持つので、食べることで、腎を養い、助けるということになるのです。これから「黒い食べ物が腎臓に良い」という話になるのです。具体的な食べ物として黒ゴマ、黒豆、昆布、ヒジキなどがあり、腎が弱っているときに、お勧めの食べ物です。
しかし、この古色蒼然とした「五行説」でいわれていることを信じてもよいのか、と思う方もおられると思います。全面的に信じるのは確かに問題があると思います。しかしこの説は、東洋医学をやっていると、正しい説だと思うことがしばしばあります。例えばストレスは「木」に属しますが、「木」は「土」を傷つける性質があります。つまりストレスは「土」を傷つけるのですが、「土」は臓器でいうと胃腸系です。ストレスで胃腸の調子が悪くなるのは、東洋医学では「木」によって「土」が傷つくためと考えます。すると治療は「木」を抑えるような治療をすれば胃腸系はよくなるということなのですが、実際これがうまくいくのです。現代医学にはこのようには考える治療法はありません。また同じような例はいくつもあり、「五行説」は、やはり捨てがたいものに思われるのです。
そのようなわけで「黒い食べ物が腎に良い」という説は、科学的には証明されていないと思いますが、私は信じています。










