先日中国の時代劇ドラマを見ていたら、役人の持っている文書の紙が黄色でした。これはなぜだかご存じですか?

紙が黄色いのはキハダで染めてあるからなのです。なぜそんなことをするかというと、キハダには防虫、防腐、抗菌作用があり、紙が虫に食べられたり、腐ってしまうのを防いでいるのです。大切な公文書ですから、風化してなくなってしまうと将来困るからという配慮からです。公文書だけではなく、重要な経典などにも使われていました。日本でも使用されており、正倉院の文書が残っているのも、このキハダのおかげです。

で、キハダというのは何かというと、ミカン科のキハダという木の樹皮から外側の部分を除いた生薬で黄色い色をしています。民間薬としても有名で、キハダのエキスを濃縮して作られた薬、「百草」、「陀羅尼助(ダラニスケ)」などが昔から売られています。これは防腐や抗菌剤としてではなく、胃腸の薬として昔から有名なロングセラーです。下痢止めで有名な「正露丸」の主成分の1つでもあります。「陀羅尼助」という変な名前は、いくつかの説があるようですが、次のような話があります。山伏の修行で「陀羅尼」というお経を何日も唱え続けなければならないというのがあり、唱え続けていれば、当然、夜睡魔に襲われます。この時キハダの樹皮を口に含みながら読めば、あまりの苦さで覚醒し、読み続けることができたため、「陀羅尼」を唱えるのを「助ける」というので「陀羅尼助」という名がついたという話です。

百草は私が小さいころに家に時々あり、下痢したときなど飲まされた記憶があります。非常に苦いものでした。「良薬口に苦し」はここから来たのではないかと思っています。

漢方薬でも当然使われており、「黄柏(オウバク)」という名がついています。胃腸薬としても使われますが、からだの熱を取る作用もあります。この生薬を使うときの注意は、からだを冷やすので、冷えている人が飲むと具合が悪くなることです。もっとも、黄柏がからだに合わない人は、この薬の苦さで飲めないことが多いです。以前ブログに書いた「良薬口に甘し」の逆で、体に合わないものは摂取することを身体が拒否するのです。具体的には冷たいものを飲むと、調子が悪くなる人はからだが冷えていると考えられるので、飲まないほうが良いです。黄柏の入った処方としては黄連解毒湯、清暑益気湯など他にも結構あり、しばしば使われる生薬です。

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