前回、腎に黒い食べ物が良いということを書きましたが、漢方では他の臓器でも同様の考えがあります。やはり五行説(万物は5つの性質(「木」、「火」、「土」、「金」、「水」を持ったものから成り立っているという考え)からの考えです。

まず、肝臓です。当然現代医学の肝臓ではなく漢方でいう肝臓で(以下、肝と言います)、この働きが乱れると、イライラする、怒りっぽくなる、不安感、咽頭のつまり感、顔がほてる、爪が割れやすくなる、夢をよく見るなどの症状が出ます。これは現代医学の肝臓の不調から起きるとは思えない症状で、他の臓器でも同じですが、現代医学の肝臓と漢方の肝とは別のものだということです。つまり、この話ではGOTやGPTが高いなどの現代医学の肝臓の不調には通用しない話ということです。五行説では肝は「木」に属し、「木」に属する色は青なので、こういう時は、青い食べ物を食べて肝を養うと良いのです。ただ、この場合の青は緑も含みます。昔は青と緑の区別がなかったためで、今でも緑なのに、青信号と言い、緑なのに青のり、青リンゴ、青紫蘇などと言うのはその名残りと思います。具体的には、小松菜、ホウレンソウ、ブロッコリー、青魚としてイワシ、サバ、サンマなどが肝に良い食べ物となり、こういうものを食べると肝の不調は改善してきます。

次に心臓ですが、漢方の心臓(以下「心」と言います、「しん」で「こころ」ではありません)の働きが乱れると、現代医学の心臓でも起きる症状、動悸、息切れ、顔色が悪いなどが起きますが、現代医学では心臓の不調からは考えもしない症状、不眠、不安感などの「こころ」の症状も出ます。心は「火」に属し、「火」に属する色は赤です。したがって、こういうときは赤い食べ物を食べて心を養うとよいのです。トマト、小豆、スイカ、クコ、ナツメ、マグロ、赤身の肉などで、心の働きを助けます。

その次は、脾臓です。現代医学でいう脾臓がどこにあり、どんな働きをしているか知っている人は少ないと思います。幸いにも漢方でいう脾臓は現代医学でいう脾臓とは全く違ったものです(以下脾とします)。なぜそうなのか説明するとかなり長くなるので、漢方での脾は「胃に対応する臓器」と思ってください。胃と思ってもらう方が分かりやすいかもしれません。脾の働きが乱れると、食欲不振、胃のもたれ、下痢、食後に眠くなる、全身倦怠感、顔色がさえないなどの症状が出ます。脾は「土」に属し、「土」に属する色は黄色です。これには大豆、トウモロコシ、カボチャ、サツマイモ、クリ、などがあり、こういう症状があるときに食べると、脾の働きが改善してきます。

最後に肺ですが、おおざっぱに言って、現代医学の肺と鼻をまとめたもの、と思っていただければよいと思います。肺の働きが悪くなると、乾いた咳、息切れ、声に力がない、声がだしにくくなる、鼻水、鼻づまり、皮膚の乾燥などの症状がでます。肺は「金」に属し、「金」に属するのは白です。これにはダイコン、カブ、蓮根、白ゴマ、百合根、梨、山芋などがあり、これらを食べると肺の働きが改善してきます。

以上当然のことのように書きましたが、多少問題点があります。そのことは、長くなったので次にします。

(蛇足)しつこいようですが、食べ物については現代医学の臓器に通用する話ではありませんのでお間違えのないように。

田中医院