水分を取りすぎないようにしましょう
熱中症に気をつけなければならないシーズンになり、「水分とりましょう」の大合唱が聞かれるようになりました。前から言っているように、これは水分とりすぎの害については何も考えていない言葉です。熱中症を防ぐのに、他に言うことはないのかといつも思います。そう思っていたら、水分とりすぎでひどいことになっている患者さんが見えたのでご紹介します。(個人情報を考えて、年齢性別などは記載しません)
患者さんの困っていることは、1か月ほど前より、からだの冷えがひどいことです。気温が高いにもかかわらず冷えるので、厚着をしていますが、バスや電車などでクーラーに当たると、冷えてお腹が痛くなり、下痢をしてしまいます。下痢を何回かすると落ち着いてきて、何事もなかったようになります。クーラーなどで冷えてしまうと腹痛と下痢が起きるので、クーラーがあるところには外出ができなくなってしまいました。そじこで、近くの医院で診てもらい、痛み止めと下痢止めをもらいましたが、あまりよくなりません。そこで「漢方で何とかしてください」と言って患者さんは来院しました。話をよく聞いてみると、以前から冷え症でしたが、ここ1か月ほど前より、特にひどくなったそうです。下肢が特に冷えるので、タイツなどはいて厚着をしていますが、冷やすと腹痛と下痢が起きてしまいます。便通は1日か2日に1回で下痢することはあまりなく、食欲も問題ありません。
最近なにか変わったことはしていかと聞くと、2か月ほど前、ひどい膀胱炎になったそうです。これは薬を飲んで治りましたが、膀胱炎を起こさないように、水分をたくさんとるように言われ、それから水を一生懸命飲んでいるとのことでした。この話と、診察の結果から、水分とりすぎのために起きる下痢と腹痛と診断しました。この方はもともと体に水がたまりやすい体質(水毒体質)であるところに、水分の過剰摂取で、からだに水をたくさんためている状態になりました。過剰に水がたまっているため、からだが温まらず、冷えてしまいます(水は下にたまるため、特に下肢が冷えます)。この冷えている状態で、さらにクーラーなどで冷えると、冷えがひどくなってしまいます。この冷えを改善しようと、からだは、たまっている水を出そうとします。尿から出ればいいのですが、下痢となって水が出るのです。体から余分な水が出てしまえば、普通に戻るので、何でもなくなるわけです。
ここまでわかれば治療は簡単で、水分摂取を控えてもらい、からだにたまった水を出す漢方薬、五苓散や真武湯などを飲んでもらえば、簡単に治ります。現代医学のお腹の痛み止めや下痢止めでは、うまくいくわけがありません。
膀胱炎を起こさないように水分を多くとっていた方ですが、熱中症予防のために水をたくさんとっても同じことです。水分とりすぎで、ここまで悪くなる人もそう多くはないと思いますが、水分をとりすぎないようにしましょう。










