水分を取る季節になってきたので、いつも言っている「水分を控えましょう」の話です。

NHKの大河ドラマ、「青天を衝け」を見ていたら、竹中直人さん扮する水戸斉昭が子供に「武士たるもの常に乾いていなければならない、湿っていることは身体に悪いことだ」「果物のような水物は控える、常にカサカサに乾いていなければならない」というようなことを言っていたので、驚き、NHKもいいことを言うと思いました。しかし、その子供である後の十五代将軍徳川慶喜(草彅剛)はそのことについて何も言わないし(あたりまえか)、世間で竹中直人さんの演技はよかったというような反響はあったようですが、水分控えようという話は全く反響がないのにがっかりです。現在では水分を取ることはよいことだ、水分をとらないというのは悪いことだというような価値観が浸透しているからなのでしょう。この水戸斉昭が「武士たるもの常に乾いていなければならない、湿っていることは身体に悪いことだ」というようなことを言っていたのは史実なのですが、今ではこのようなことを昔は言っていたのか程度にしか思われていないのが残念です。

今の時期に下痢、食欲不振、胃もたれ、身体がだるい、めまい、冷えるなどの症状を訴える人が多くなりますが、これは水分の取りすぎが原因のことが多いのです。下痢は特に多い症状と思いますが、クーラーで冷えて下痢したと訴える方が多いです。身体に水がたまっているから冷えて下痢をするので、下痢はたまった過剰の水分が出る反応で、正常な状態を保つために起きるといえます。熱もなく、思い当たる原因がない下痢をしたら、水分取りすぎを疑ってください。(たいしたことなければ治療はいりません)

食欲不振、胃もたれなども、胃腸が水でジャブジャブしているために起きることが多い症状です。めまいも水の取りすぎで内耳がむくんでいるからで、冷えるのも身体に水が多いので身体の熱では全体を温めきれないからです。

クーラーがなければ水が過剰にあっても身体から抜けていきやすいのですが、クーラーに入っていると水は身体からなかなか抜けないし、冷えるので、体調は崩れます。クーラーに入っているのなら、水分は取り過ぎないように注意しましょう。但し高齢者や病気の人は脱水を起こしやすいので、聞き流してください。

田中医院