今年を振り返って思うことは、やはり目です。年々、目を酷使する人が増えています。「目を休ませましょう」という話はこのブログでも何回か書いていますが、目を酷使する人は、増えこそすれ、減ることは一向にありません。現代人の生活は、パソコン、スマートフォン、テレビなどの液晶画面を見ないと生活ができないようになっているからだと思います。仕事で何時間もパソコンの画面を見続けるという人は多いです。

目は、遠くを長時間見るのにはあまり負担がかかりませんが、近くを長時間見るのには向いていないのです。文明度が低い時は近くを長時間見るということはほとんどなかったのですが、文明の進化とともに、本のような印刷物ができて、近くを長時間見る機会が増えてしまいました。しかし紙だけの時はまだましだったと思いますが、テレビができ、パソコン、さらにそれが液晶画面になって、目は酷使されるようになってしまいました。

目を使いすぎると、様々な症状を起こしますが、いちばんは不眠でしょう。疲れているのに眠れない、寝てもすぐ目を覚ましてしまうなどです。それに続くのが、肩こり、頭痛などです。これらによって二次的に様々な症状が出ます。例えば、イライラや動悸、不安感、抑うつ感、めまい、吐き気、疲れやすい、集中力がないなどがよく診る症状です。診察をしていると、こういう人が非常に増えてきています。みな、目を使うのをやめればよくなりそうな人ばかりですが、それができない環境が問題です。これでいいのかと思うのですが、どうにもなりません。困ったものです。目の環境は悪化していくばかりです。

アメリカの眼科学会議が推奨する「20-20―20ルール」というのがあります。目を守るため、20分近くパソコンなどで目を使ったら、20フィート(=約6m)離れたところを20秒眺める、というものです。多少面倒ですが、目を守るために実行するとよいと思います。

目が疲れるとほぼ間違いなく肩こりが起きます。肩こりを取ると体の緊張がほぐれ、睡眠が良くなり、疲労(目の疲労も)がとれます。肩こりを取るストレッチや体操などもよいと思います。

漢方薬はないのかというと、あることはあるのですが、この場合はほとんど処方しません。なぜかというと、薬を飲んで、目を使うのが楽になると、今まで目が疲れて見るのをやめていたものを、見るようになり、再び目のオーバーワークを起こします。つまり元に戻ってしまうからです。ほぼ100%の人がこうなってしまい、治療してもしょうがないので、処方しないのです。

目を休ませましょう。

田中医院