眼の病気でもお腹を診るのですか?
先日、眼の治療でいらした患者さんを診察しましたが、お腹の診察に驚かれてしまいました。眼の病気なのになぜおなかを?ということなんのでしょうが、漢方はお腹の診察(腹診といいます)は病気が何であっても重要なのです。なぜかというと、漢方治療は、以前から何度も言っていますが、全身を診る治療だからです。どこか悪いところがあれば、現代医学では悪いところに注目(今回は眼でした)し、診察は眼の診察がほとんどになり、病気の部分を診て悪いところを探して治療するという考え方です。漢方は部分(この場合眼)が病気なのは、からだ全体の歪から来ていると考え、からだ全体の歪を正せば眼の悪いところも治るという方針で治療をします。つまり、全体を診察しないとなぜ歪(目の悪いところ)があるのかわからなく、治療ができないのです。逆に言うと、悪いところだけ診ても治療できないのです。
からだ全体の歪を探すのに、漢方では四診といって望診、聞診、問診、切診の4つの診察方で探します。そして、切診の1つにお腹を診る腹診があるのです。処方は腹診ですべてを決めるのではなく、四診をしてから総合判断で決まります。目の治療であってもこういう理由でお腹を診るのです。
ところで、腹診でお腹を診るといっても現代医学と違って、胃や腸、肝臓などを診ているのではありません。現代医学ではお腹を診察するとき、通常、膝を立てて腹筋の緊張を緩めて内臓がわかりやすいようにして診察しますが、漢方では膝は伸ばしたままで、腹筋の緊張状態や腹部の動悸などを診察してからだ全体の状態を把握します。患者さんに診察して、「ストレスがたまっていますね」とか「疲れていますね」など言うことがありますが、全体の状態をみているからわかることなのです。
眼の病気やニキビなどでお腹を診ても驚かないでください。