水分とるなら
先日、軽度糖尿病で腎臓も少し悪い患者さんの検査結果が、前回より悪化していました。なぜそうなったのかよく聞いてみると、スポーツドリンクをよく飲んでいるということがわかり、納得しました。テレビで水分、塩分取りましょうとしばしば言っているので、患者さんは体によかろうと思って、スポーツドリンクを飲んでいたのです。糖尿病なので、カロリー制限が必要ですし、腎臓が悪いので塩分制限も大事です。にもかかわらず塩分と糖分の入っているスポーツドリンクを良いと思って一生懸命飲んでいたのです。ポカリスエット100ml中に炭水化物25カロリー、塩分0.12g入っています。つまり1日1L飲めば、カロリーは250カロリー、塩分は1.2gにもなります。これが、糖尿や腎臓に良いわけがありません。
カロリーは問題としても、「塩分は夏場なので汗から出ていくので補う必要があり、問題ないのでは?」と思われるかもしれませんが、これがダメなのです。なぜかというと、塩分は体にとって大切なものなので、できるだけ外に排出しないように人間の体はできています。つまり普通にかく程度の汗では、塩分は再吸収され、汗としてはあまり出ていかないのです。スポーツなど運動して流れるような汗をかく場合は、再吸収が間に合わないので、塩分は出てしまいます。この場合はスポーツドリンクを飲むのはよいことになります。
つまり、普通に動いているときや、クーラーの中に入っているときなどは汗から塩分はほとんど出ないので、スポーツドリンクを取れば塩分過剰となり、腎臓に負担をかけることになってしまいます。流れるような汗をかいたときに、スポーツドリンクは飲むべきです。経口補水液OS1というのもあります。何となく体に良いものというイメージがあるかもしれませんが、これも塩分がさらに多く入っています。下痢嘔吐などを繰り返して体液を多く失ったときに飲むもので、通常飲むものではありません。塩分の過剰摂取になります。
普通に汗をかいたときは、取りすぎに注意して、水やお茶など塩分の入っていないものを飲むべきなのです。蛇足ですが、クーラーで体が熱くないときは白湯がベストです。
運動をしたわけでもないのにスポーツドリンクを飲んでいる人が結構多くて気になっていたので、今回のブログは漢方と全然関係ない話になってしまいました。