古典に記載されている風邪薬の飲み方
風邪が流行ってきています。私は風邪の初期には葛根湯を飲むことにしています。ひいたなと思ったら、温かいお湯で一包飲めば、軽くすんだり、治ってしまうこともあります。他の人にも時々勧めますが、胃腸が弱い人や、体が消耗している人はやめたほうが無難です。薬力は煎じ薬に劣りますが、エキス顆粒の薬は、風邪ひいたかなと思ったらすぐ飲めるので便利です。煎じ薬しかない時代は不便だったと思います。風邪ひいたなと思っても、生薬を準備して、それから1時間ほどかけて煎じるので、飲むのを忘れてしまいそうです。しかも、漢方薬の古典に記載されている「本当の」飲み方は、かなり面倒なのです。
その中で、虚弱な人の風邪に使われる桂枝湯の飲み方はなかなかのものです。古典には次のように記載されています。「桂枝湯を飲んで少ししたら、熱い薄いおかゆを食べて桂枝湯の温める薬力を助ける。布団などかぶって体を温め、しっとりする程度の汗をかくのが良い。汗をダラダラかくようにしてはいけない。汗が出ないようなら、さらに同じようなやり方で桂枝湯を更に内服する。冷たいもの、ぬるぬるして粘っこいもの、肉、酒、チーズや嫌な臭いのものを取ってはいけない」です。桂枝湯は薬力が弱いのでこのようにしないと効きが悪いのかもしれません。現代ではこんなこと、ちょっとやる気になりませんね。
葛根湯も古典には、似た記載があります。桂枝湯の「熱いおかゆ~布団をかぶって体を温め」の部分は無いですが(葛根湯は薬力が弱くないので必要ないのです)、「汗をだらだら・・・」以下は同じです。桂枝湯ほど面倒ではありませんが、食べるものに制限があり、戸惑ってしまいます。しかし、私は葛根湯を飲んでも、気にせず何でも食べていますが、(多分)問題ないようです。
古典にはつまらないことが書いてあると思われるかもしれませんが、無視してはいけない重要なことも書いてあります。それは「汗をしっとりとかくのが良い、ダラダラかくようにしてはいけない。」の部分です。漢方では汗を「ダラダラとかく」のはエネルギーを消耗してしまうので、あまり好ましいこととは考えません。汗は「しっとりと」かくのが良いのです。このことは風邪の時に限らず、応用されていろいろな場面に利用できます。例えば適度な運動量というのは、「しっとりと」汗をかく程度が好ましいのです。ダラダラとかいてはいけないわけではないのですが、エネルギーの消耗が強いです。風呂に入っても汗を「ダラダラとかく」のは好ましくなく、しっとりとかく程度が体に好ましいのです。
古典といっても、つまらないことも書いてありますが、結構よいことが書いてあるのです。