漢方薬のルーツ 2
漢方は料理がルーツということを前回書きましたが、その続きです。
われわれが食べている食材に漢方薬として使われているものはたくさんあります。保険で調剤されている漢方薬で挙げてみると、シナモン(桂枝)、ショウガ(生姜)、ナツメ(大棗)、紫蘇(蘇葉)、ハッカ(薄荷)、サンショウ(山椒)、フェンネル(小茴香)、クローブ(丁香)、カルダモン(縮砂)、ミカンの皮(陳皮)、お茶(細茶)、ゴマ(胡麻)、クズ(葛根)、玄米(粳米)、コムギ(小麦)、ハト麦(薏苡仁)、アメ(膠飴)、ヤマイモ(山薬)、ユリ根(百合)などがあり、意外に多いのです(( )は生薬名)。「ミカンの皮」が食材かと思うかもしれませんが、七味トウガラシに入っています。「コメ」や「コムギ」も漢方薬の中に入っているのに驚かれるかもしれませんが、立派な生薬として使います。また「アメ」が薬かと思われるかもしれませんが、立派な生薬です。ただ、アメといっても普通に売っているアメではなく、昔ながらの麦芽などを使った製法で作られたアメです。アメは今ではお菓子ですが、砂糖のなかった時代では甘味の調味料だったようで、やはり食材です。
保険薬以外の漢方薬も入れて考えると、その種類はさらに増え、食事すれば生薬が必ず口に入ると言ってもよいのではないかと思います。食事をするということは健康に生きていくための「薬」を食べているという風にも考えられます。偏った食べ方は食材の種類が少なくなるので、身体に必要な「薬」を摂取できない可能性が高くなります。種類を多く取れば、いろいろな漢方薬を取っているのと同じと考えられ、健康の維持に役立ちます。例えば、桂枝湯という風邪薬があります。これはシナモン(桂枝)、ショウガ(生姜)、ナツメ(大棗)に甘草、芍薬が加わったもので、5種のうち3種が食材といえるものですが、実は「甘草」は醤油の甘味料として使われたり、リキュールなどに使われており、あまり直接口にしないだけで、食材といえるものです。つまり桂枝湯は5種の生薬のうち4種が食材から構成され、食事の中身によっては風邪予防ができる食事ができそうです。
日本はいろいろな国の料理が食べられ、さらに売っている食材も種類が豊富なので、健康を保ち易く長寿になるのだと私は思っています。食事は種類多く取りましょう