尋常ではない暑い日が続いています。涼しくなる話でもないかと思い、怖い話を考えたのですが、怖い話は思い浮かびませんでした。そこで少し驚くような生薬の話を書いてみます。

柴胡加竜骨牡蛎湯という漢方薬がありますが、名前からわかるように、これには「竜骨」という生薬と「牡蛎」という生薬が入っています。「竜骨」というのは、本当に竜の骨なら面白いのですが、大型動物の骨の化石です。(多少ギョッとするかもしれませんね)「牡蛎」は字のままでカキ、広島や仙台で有名なカキ、オイスターです。ただし牡蠣といっても生薬として使われるのは中身のほうではなく、なんと貝殻です。化石や貝殻に薬効があるのかと驚かれるかもしれませんが、使って効果を感じています。

次は「蝉退」です。「ゼンタイ」と読みますが、字から想像される通り蝉と関係あり、セミの抜け殻です。多少驚かれるかもしれませんが、薬効があります。以上の生薬は保険のエキス剤で使われていますので、皆さんの胃の中には入ったことがあるかもしれません。

次からは保険薬にはないものなので、一般には口に入ることはないので、すごいものですが、気にしないでください。

まずは「伏竜肝」です。名前はカッコいいですが、「黄土」とも言います。実は字のごとく土です。それもただの土ではなく、かまどの底の中央部の土で、長い間薪で焼かれていたものです(そういっても土ですが)。止血や下痢止め、制吐に使います。

次は飲むのも恐ろしい生薬「地竜」、「水蛭」です。「地竜」はミミズのことです。「水蛭」は字からわかるとおり、血を吸うヒルです。処方されても、飲むのを考えてしまいそうです。

さらにすごいのが、「しゃ虫」、「虻虫」です。「しゃ虫」はゴキブリ、「虻虫」はアブです。こんなのを処方されたら飲めますか?

これらよりまだ驚くものがあります。ウンコです。「五霊脂」、ムササビのウンコです。ウンコがあるのですから、尿もあります。「鶏尿白」です。鳥はウンコとおしっこが一緒に出るのですが、メスの鶏の大便の上の白い液体です。さらに極めつけが「童尿」です。字から想像される通りのもので、子供のです。大人のはだめです。

以上何の話だか分からなくなりましたが、暑さを少しの間でも忘れられたら幸いです。

追記:変な生薬ばかり書きましたが、普通にまず使うことない生薬なので、漢方に対して誤解をもたないようお願いします。

田中医院