健康食品は漢方とは関係ないのですが、何となく関係していると思われる方が多く、しばしば是非について質問されます。そこで、漢方とは関係ないとはいえ、無知ではいけないと思い、『「健康食品」ウソ・ホント』という本を読んでみました。

本を読む前は、健康食品、特に「トクホ」(特定健康食品)といわれるものは、信頼できるデータの裏づけがなければ認可されないはずなので、ある程度信用できるものと思っていました。ところが実際は予想と違うのに驚き、皆さんに知ってもらったほうが良いと思い、これを書くことにしました。

驚いたことはいくつもあるのですが、一番は、例えば「青汁」がトクホとして許可されていても、実はそれに添加されている「難消化性デキストリン」(大した効果はないのですが)など効果が認められているものが入っていることで、「保健効果」が認められているのです。青汁自体に効果があるというデータはないのです。つまり、効能として宣伝できるのは「難消化性デキストリン」など効能が証明されているもが入っているからであり、宣伝できる効果も「難消化性デキストリン」の効果です。青汁のみでは効能を宣伝できないのです。あきれてしまいました。実際に効果がなくても、効果が認められているものを添加してやれば、効果があるとして販売できるのです。

コラーゲンの話もひどいものです。コラーゲンを食べても現在の科学的知見では美肌や関節に期待する効果が出るかどうかは不明なのです。しかしコラーゲンは肌に良いという「神話」が巷に蔓延しており「コラーゲンでお肌プルプル、しっとりつやつや」などあたかも美肌効果があるような文言がしばしばみかけます。そこで本の著者が、宣伝にある「飲むたびにうるおいを」ということはどういうことかなど、質問状を企業に送ったことがあるそうです。企業の答えに唖然としました。「文字通り、飲んでいただいて喉をうるおしてほしいという意味です」という答えだったそうです。なんと、「飲むたびにうるおいを」の文言は、肌ではなく「のどを潤す」ということなのです。他の企業でも同じようなもので、「おいしくうるおう」という文言で宣伝している企業からの答えは「止瀉作用によって喉をうるおします」という答えだったそうです。いずれの回答も潤うのは「喉」であり、「肌」については一言も触れていないのです。あたかも肌を潤すような宣伝文句、誤解を生むような文言でだましているといっていいのです。

健康食品の中には本当に良いものもあると思うのですが、これでは「悪貨、良貨を駆逐す」となり、良いものは消えていてしまいます。要するに、健康食品の効果はあまり期待しないほうが良いというのが私の結論です。

まだまだ書きたりないのですが、次回気が向いたら続きを書きます。

田中医院