生薬について 4
コロナ禍で気分が低くなるので、高い生薬の話です。
高価な生薬というと、朝鮮人参を思い浮かべる人も多いかと思います。親の病気を治すため、薬(朝鮮人参)を買うのに娘が身売りするというようなお話があり、高価なものだと知られています。しかし、朝鮮人参はそれほど高いものではありません(一般に使われる生薬の中では高いものに入りますが)。儲かるためか、上手に栽培されています。ただし、天然(自然に生えている)の朝鮮人参はべらぼうに高いです。モノによっては家一軒立つような金額だそうです。
そういう趣味的な世界の生薬ではなくて、一般に使われる(一般といっても高いのであまり使われませんし、手に入りにくい)生薬の話です。高い生薬の双璧といわれるのが、牛黄(ごおう)と麝香(じゃこう)です。牛黄というのは何かというと、牛の胆石です。このようなものが薬に使われるのに驚かれるかもしれません。牛は食用として多く利用されていますが、胆石を持った牛はそう多くはなく(千頭一頭くらいと言われます)、希少であり、効果もあるので高いのです。解熱作用、鎮静作用、解毒作用などがあります。
麝香というのは、ジャコウジカという種類の鹿に、雌をひきつけるための匂いをだす袋が雄にあるのですが、そこで分泌される分泌物を乾燥したものです。高い値段で取引されるため、ジャコウジカは乱獲され(殺さないと分泌物は取れません)、絶滅危惧動物になっています。したがって、現在捕まえることはワシントン条約で禁止されています・・・が、外国に行って薬局で麝香を求めると、奥の方から出してきて、「条約の前に取れた」麝香だ、といって売ってくれるという話を聞いたことがあります。興奮作用、鎮静作用、鎮徑作用などがあります。価格は1gで2-3万円くらいではないかと思います(金より高い!)。牛黄は1gで5千―1万円程度と思います(但し、相場は動くし、品質によってかなり値段が違うのであまり信用はしないでください)。参考に書くと、朝鮮人参は1g数十円程度です(これも品質によってだいぶ違いますが)。動物由来の生薬は概して高く、そのほかにも、虎骨、センザンコウ、犀角などが有名で、ワシントン条約に関係することが多く、手に入りにくいものが多いです。