お腹の張りで困っている方は結構いらっしゃいます。特に寒くなると増えてきます。お腹のガスは、飲み込んだ空気や腸内細菌による発酵などで発生しますが、寒くなると、腸の動きや働きが悪くなり、ガスが滞ったり、吸収されなくなって、お腹が張ってくるのです。緊張、ストレスなどでも腸の動きは悪くなり、同様の症状が現れますが、これらは寒いときとは限らず起きます。
 張らないようにするには、どうすればよいかというと、お腹の中が冷えたのが原因ですから、暖めればよいのです。ただし、お腹だけを暖めても、あまりうまくいきません。足、特に足の裏を暖めるのが大事なのです。
 なぜ、足の裏を暖めるのが大事かというと、ここは毛細血管が発達しているため、冷えるとそこを通過する血液も非常によく冷えてしまいます。この冷たい血液が静脈に入り、下肢を上り、お腹の中を通るのです。つまり冷たい血液がお腹の中を通り、直接腸が冷えてしまい、お腹が張ってくるのです。したがって、外からお腹を暖めるより、足の裏を暖めて、冷たい血液を暖かくして、腸を暖める方が効率がよいのです。
 このほかに、体を温めるもの、特に生姜、トウガラシ、コショウ、などのスパイス類を取るのもよいです。漢方薬はは大建中湯という薬がよく使われますが、この処方の主薬は小粒でピリリと辛いサンショウなのです。
 過敏性腸症候群や大腸がんなどの病気でも生じますので、治りが悪いなどおかしい場合は、病院で診てもらってください。

田中医院