良薬口に甘し
漢方では「良薬口に苦し」ではなく「良薬口に甘し」としばしばいわれます。どういうことかというと、その人のからだにあっている薬(漢方薬)は、まずい薬でもおいしく(飲みやすく)感じるということです。逆にその人のからだにあっていない薬(漢方薬)は、おいしいはずの薬でもまずく(飲みにくく)感じるということも意味します。これは煎じ薬ですと味がダイレクトなのでわかりやすいですが、顆粒などの薬は乳糖など加えてあるのでわかりにくいということはありますが。黄連解毒湯という極めて苦く、まずい薬があります。身体に合っている人は、おいしいとはいいませんが、意外に平気で飲めてしまい、まずいとはあまり言いません。これをからだに合わない人に飲ませると、まずいし、飲みにくい、無理に飲むと気持ち悪くなると訴えたり、実際身体の不調もしばしばおきます。
この考え方で漢方薬が適切かどうかある程度判断ができます(絶対ではありませんので、念のため)。漢方薬を飲んで、おいしく感じていればまず問題ありません。おいしく感じなくても、飲んで特に問題なければ(この場合が一番多いかと思います)、これも大丈夫でしょう(毒にも薬にもなっていないという場合もありますが)。まずいのを我慢して飲んだが、気持ち悪くなるなど不快な症状が起きない場合も大丈夫でしょう(まずいのに問題なく飲めたのですから、逆に薬があっている可能性は高いです)。においがダメというのは、薬があっていない可能性があります。おいしく感じようが、まずく感じようが、飲んだ後に気持ち悪くなるなどの不快な症状が出る場合も、薬が適切ではない可能性がかなり高いです。いつも飲んでいた薬が、風邪ひたり、胃腸の中止が悪くなって飲みにくくなる場合は、その間休薬するほうが無難です(なんでもない場合は飲み続けてかまいません)。大概は風邪などによる一時的な変調なので、風邪などが治れば普通に飲めるようになります。同じ薬を問題なく飲めていたものが、飲みにくくなった場合は、何か変化があったと考えられるので、休薬して診察してもらうとよいです。このような感じで漢方薬が適しているかどうかある程度判断できますが、絶対ではありませんのであしからず。