解熱剤は何℃になったら使えばよいですか?
「コロナワクチンの副作用を心配して、解熱剤を求める方がしばしばいらっしゃいます。その際「何℃以上になったら解熱剤を使ったほうがよいですか?」と尋ねられることが多いです。現代医学的な返答では37.5~38℃くらいではないかと思いますが、私は「発熱や関節痛、頭痛などがあり、つらいならば体温が何℃であっても解熱剤を使用してかまいません。逆に熱が38℃あっても、身体がつらくなければ解熱剤を使用する必要はありません」と答えています。発熱はほとんどが一日程度で下がりますし、東洋医学的思考では、画一的に○○℃になったら熱を下げるというのには抵抗を感じるからです。個人個人体質が違うので、個人個人で適正値が違うと考えるのが東洋医学です。漢方で「熱がある」というのは自覚的に熱い、熱感があるというようなときに「熱がある」というのであって、体温計が39℃を指しても本人が熱く感じていなければ「熱がある」とは考えないのです。また熱は闘病反応なので、問題なければその人の免疫に任せておいたほうが後の結果がよい(うまく抗体ができる)という風にも考えてしまうので、前述のような答えになってしまいます。現代医学は客観的に見ることを大事にし、東洋医学は個人を見ることを大事にするのでこういう考え方の違いが起きるのです。現代医学の考え方に慣れている人には違和感を感じるかもしれませんが、東洋医学はこういうものと思ってください。
話し変わって、先日、ある患者さんのパートナーの方がコロナに感染しましたが、ご本人はコロナに感染しなかったという方がいらっしゃいました。患者さんは濃厚接触者になるので、外出制限などは受けましたが、同じ屋根の下にいたにもかかわらず、感染しなかったのです。コロナワクチン接種はしていませんでした。この方は当院で漢方薬を内服している方なので、漢方薬が免疫力を高めたため、パートナーの方が感染したにもかかわらず、感染しなかったのではないかと考えています。飲んでいる漢方薬は免疫力を高めるといわれているような補中益気湯や十全大補湯などではありませんでした。ということは体質に合った薬を飲めば、免疫力は上がると思われます。残念なことにデータが少ないので、科学的には漢方が効くというのには無理があります。
蛇足ですが、この話をあまり強調すると漢方を飲んでいればコロナに罹らないなどと思われるのが心配です。そんなことはありません。漢方飲んでもコロナに罹ります。罹りにくくなるといっているだけなので、過信しないでください。