もうすぐ2023年も終わりますが、一年を通して感じたのは、年々眼を酷使する人が多くなり、眼に対する環境が悪くなってきていることです。「眼を休ませましょう」という話しは何回か書いていると思いますが、その書いた時点より、眼の環境は確実に悪化してきていると思います。体調不良を訴える患者さんは結構いらっしゃいますが、眼の酷使が体調不良と関係している人は多いです。本人は眼の使いすぎが体調不良に関係しているとは気づいていないことが多いので、眼に対する環境が良いわけはないです。

眼を使いすぎると、肩こり、首こりなどとともに睡眠が悪くなります。眠いのに寝つかない、夜中に何度も目を覚ます、夢が多い、眠りが浅く、小さな物音でも目を覚ましてしまうなどです。睡眠が悪くなると多彩な症状が出てきます。疲れやすい、動悸がする、イライラする、頭痛、頭が働かないなどたくさんあります。思い当たる人も多いのではないでしょうか。

20年位前までは眼を酷使する人は限られていたと思いますが、最近は、眼を使いすぎて生活するのが普通で、そうでない人のほうが珍しい状況になっています。仕事でパソコンを長時間、仕事が終わればスマートフォンでメールや調べ物、ゲームなど、家ではテレビや読書、またパソコンなど眼を休める暇がないと思います。眼は液晶画面の奴隷のような感じです。明治の時代の『あゝ、野麦峠』の話しを思い起こします。富国強兵を支えるための重要な輸出品、生糸を生産するため、長時間機械に縛られて働く女工の悲話ですが、現代人も実は日本の経済を支えるためにパソコンに縛られて働いている労働者のような気がしています。パソコンで仕事の効率が以前より上がり、仕事がはかどるようになったといっても、人間がパソコンにこき使われて、パソコンの能力に合わせて働かされているだけではないでしょうか。パソコンは休みも無く働くので、それに合わせて人間も休み無く働かされているように思います。

漢方の話が、ぜんぜんありませんが、この眼の疲れに、漢方治療をしてもあまり効果はありません。漢方薬の眼の疲れに効果がある薬を飲んでも、眼の疲れが楽になると、すべての人が皆!、さらに眼を酷使して、再び眼の疲労を悪化させてしまいます。このため、結局薬は効かなくなります。薬よりも眼を休めるのが一番良いこととなり、漢方薬を飲んでもらっても意味ないと思っています。

あまりこういうことをいう人がいないけれど、これでいいのかなあ、といつも思っていたので、書いてしまいました。

田中医院