先日、患者さんが健康診断の結果を持っていらして「健康かどうか心配です」といわれました。検診の結果は多少の異常値はありますが気にするレベルではないものでした。この多少の異常値を気にしているようなのです。この方は漢方薬を飲んで、食欲に便通、睡眠と良好になり、大変調子良いのです。何も気にする必要はないのですが、気になっているようです。検査値の正常値というのは、ある一定数の健常な人から採血して、その平均値が正常値となるので、少しくらいその範囲から外れたからといっても、すぐには異常とはいえないものなのです。それなので、元気ならば、この検診結果は問題ありません、と申し上げておきましたが。

健康かどうかは健康診断の結果はあまりあてにしないほうが良いと思います。漢方では食事と睡眠の状態が大切といわれています。食欲があり、食事が美味しく食べられる、食事の時間が楽しみ、1人前くらいなら問題なく食べられる、食べた後も胃の調子に問題はないというようならば、食事に関して健康と思います。食欲があっても、美味しいというより、食べたいという気持ちが強く食べてしまうのや、少量で満腹になったり、胃の調子が悪くなるというのはダメです。しばしばストレスがかかっているようなときにこうなります。食事が美味しく、適量食べられるというのが大事です。

睡眠は、寝付きよく目覚めも良いというのが健康だと思います。ただ、寝つきが良くても、夜中に何回か目を覚ます、夢が多くて寝た気がしないというのや、寝つきは良いが朝起きるのがつらいというようなのはだめです。睡眠時間は個人差があるので、一概に言えませんが5-8時間程度なら良いと思います。9時間を超えるような場合は、何か問題があると考えます。

この様な状態で食欲と睡眠がよければ、検診の結果などあまり気にする必要は無いと思っています。逆に検診の結果が問題無くても、上記のような食欲や睡眠に問題がある場合は、漢方では健康ではないと判断します。

注意しておきたいのは、上記のように食欲、睡眠が良くても、検査が治療レベルまで異常値(コレステロールが高い、血圧が高い、血糖が高いなど)であれば当然治療の対象です。特に糖尿病の人は食欲睡眠ともによく、「健康」といえる人が結構いらっしゃるのですが、この話しを誤解しないでください。異常値を放置するのはいけません。治療しましょう。

田中医院