雨が多く、じめじめして気温の高い時期になりました。からだがだるいといって来院される方も多いです。体調を崩しやすい時期なので、注意しましょう。こういう時期にとって欲しい食事が、四川料理です。中国の四川省、『三国志』が好きな方なら蜀の国(劉備、諸葛亮の国)といった方が、わかりやすいかもしれません。ここは山で囲まれた盆地で、一年を通して、日の出ることが少なく、毎日が日本の梅雨のような気候の地域なのです。「蜀では、日が出ると、犬が怪しんでほえる」ということわざがあるくらいです。その気候に負けないように食べられているのが、あの辛い四川料理なのです。
 辛味によって、からだの余分な水分を排出し、湿気で体温が下がることを防ぎ、健康を保つのです。歴史的なことがあって、ここの辛味はトウガラシではなくて、山椒(正確には花椒)が一般的ですが、山椒にこだわる必要はありません。トウガラシでもよいですし、それが苦手な人は、それ以外の辛味のある香辛料(ショウガ、ニンニク、フェンネル、クローブなど)、なんでもかまいませんから、多めに取ることです。その人のからだに合う香辛料は、多くとっても、胃腸障害などのトラブルを起こすことは少ないです。何がからだにあっているかわからない場合は、匂いや味を好ましく感じるものにすればよいのです。本能に従うのです。これでほとんどの場合、問題になることはありません。香辛料の類のほとんどが、温める作用があり、からだの余分な水分を排出し、体温が下がるのを防ぎ、うっとおしい梅雨を乗り切れます。
 注意しておきたいのが、水分の取りすぎです。せっかく余分な水分が、からだから排出されても、水分を過剰に摂取したら、元も子もありません。熱中症を心配して、水分を多く取る人が多いので注意してください。また、暑いからといって、冷たいものの摂取過剰も、体温を下げすぎてしまうので、注意が必要です。

田中医院