スギ花粉の飛散がピークになっています。前回、花粉症の症状に喉の痛みやかゆみ、イガイガ感などもあるという話をしました。今回は皮膚に湿疹が出るという話です。
 皮膚がしっかりした状態であれば、花粉は中に入り込めませんから、何も起きません。ところが、皮膚が傷んでいると、花粉が皮膚の中に入り込むため、アレルギー性の炎症が起こり、湿疹を引き起こします。これは眼の周りで見られることが多く、赤くなり、かゆくなります。眼の周囲の皮膚は他と比べ薄く、常に外気と接し、さらに冬の寒気と乾燥で皮膚が傷んでいるので、花粉で湿疹を起こす人がいるのです。眼の周り以外ではあまり見られません。
 しかし、湿疹を持っている人、特にアトピー性皮膚炎の人は花粉に要注意です。春先は季節の変わり目で皮膚が悪くなると思っているアトピーの人が多いのですが、実は花粉が原因の場合がしばしばです。湿疹で傷んでいる皮膚には花粉が入り込み、湿疹を悪化させます。自分は花粉症だと思っている人は、花粉に注意するのでよいのですが、自分は花粉症ではない、皮膚と花粉は関係ないと思っているアトピー性皮膚炎の人が結構いらっしゃるのが問題です。アトピー性皮膚炎の人はアレルギーを起こしやすいので、スギ花粉との反応を検査すると、たいてい陽性に出ます。しかし、クシャミ、鼻水のような症状がでないことが多く、自分は花粉症ではない、と思っているのです。クシャミなどの症状が出ないのは、皮膚の方でアレルギー反応が多く消費されてしまうため、鼻の方でアレルギー反応がほとんど起きないためだと思います。そのため花粉症とは関係ないと錯覚してしまい、花粉をいっぱい浴び、皮膚を悪化させてしまうのです。
 これを防ぐため、花粉の多い日、風の強い日などは外出を避け、花粉を浴びないようにする、スキンケアをして皮膚を守るなどに気をつけると良いです。

田中医院