漢方に使われている生薬について少しお話しましょう。
  生薬のほとんどは、いわゆる草根木皮です。この中には種子や実、きのこ類なども含みます。動物由来の生薬や鉱物由来の生薬もありますが、あまり使われません。保険の漢方薬で使われているのは、それぞれ2、3種類程度です。ほとんどが植物由来といってよく、それを煎じたものが漢方薬ですから、漢方薬は野菜のスープと考えられ、食事ともいえます。食事はお腹がすいている時に取るので、その考えから、漢方薬はお腹がすいたときに内服することになっているのです(これは原則で、必ずしも従う必要はありません)。韓国ドラマに「チャングムの誓い」というのがありました(見られた方も多いかと思います)が、中国の使者(糖尿病で体調良くない)が来たとき、厨房の女官であったチャングムたちが、食事で体調を回復させるというのがありました。これは食事で糖尿病に治療をしたのですが、薬が食事になっただけで、食事は薬ともいえ、薬と食事の区別はよくわからなくなっています。実際、料理でよく使われる生姜は漢方薬でもよく使われる生薬です。漢方では食べ物は薬は同じレベルのものと言ってもよいかもしれません。
 しかし、食べ物でも、ソバを食べてアレルギーを起こす人がいるように、漢方薬でもアレルギーを起こす人はいます。また、トウガラシなどを食べて胃を悪くしたり、下痢したりする人がいるように、漢方薬でも同様の胃腸障害を起こすことはあります。その他にも、少ないとはいえ、副作用がおきることはあるので、食べ物も全く安全とはいえないように、漢方薬も全く安全なものとはいえないので、ある程度の注意は必要です。といっても、食物と同じレベルで考えてもらえればよいので、さほど神経質になることはありませんが。
 生薬と漢方薬がゴチャゴチャになった話になっていますが、現代薬とちがって、漢方薬はかなり身近なもので、食事や食べ物と同じに考えるとわかりやすいです。

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