(続)眠気を覚ます漢方薬
前回に少し補足です。葛根湯はいくつもの製薬会社から販売されています。どれも同じかというと、葛根湯に使われる生薬の7種類は同じですが、使われている生薬の品質と、生薬の使用量が製薬会社によって違っています。目を覚ますのに重要な生薬、麻黄(まおう)の量は、医療用の葛根湯では3~4g、市販の葛根湯では2~4gと会社によって幅があります。単純に考えると、麻黄の量2gと4gではその中に含まれるエフェドリンの量は2倍の差があることになり、効果に差が出そうです。また使用する生薬の品質は重要です。工業製品と違って天然物は品質による差は大きいのです。例えばミカンを食べても、味が濃く甘くておいしいものもあれば、味は薄く何を食べているかわからないようなミカンもあります。品質の良いものと悪いものでは、エフェドリンの含有量にかなり差があり、効果も大きく違います。北里研究所にいた頃、時々煎じて葛根湯を飲んでいたのですが、あるとき飲んだ葛根湯は、急に眼がパットさえ、いつもと比べて頭がスッキリしたのでびっくりしたことがあります。これは麻黄のロットの違いによるものですが、その差に驚きました。品質による作用の差は皆さんが考えているよりも大きいものなのです。ただ、医薬品として使用されるからには、ある程度の基準が決められているので、あまり心配することはないのかもしれませんが。
葛根湯の目を覚ます作用は、麻黄の品質と使用量によって製薬会社によりかなり違うことが理解してもらえたかと思います。販売されている葛根湯なら、生薬の成分量が書いてあるので、それを見て選んだほうがよいです。その中の麻黄(まおう)の量が少なくとも3g以上はいっているものにすべきです。3gより4gの方がよいのですが、品質の違いで1gくらいの差は関係ないこともあります。内服する葛根湯の品質がわかるといいのですが、これは製薬会社を信じるしかありません。
顆粒などの粉薬では効果を感じられない場合は、高いですが品質の良い麻黄を使った煎じ薬がよいです。やはり品質が悪い生薬ですと効果は弱いです。